TWシルバーレインのPC白霄院珠玖伽と祇神絖哉、祇之森譲刃、ミリル・ゴーテヴェルン(+背後)の日記…とゆうか雑記?っぽいものです。そしてアンオフィ要素は高めなのでお気をつけを。
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冷たい雪の中。
僕はその雪の中にうずくまっていた。
兄弟と争い、負傷した傷が治りきらず、そうするしかなかった。
じんじんとした痛みが、孤独と共に僕をせめ立てた。
仕方ないだろう。これがお前の罪だ。
…と。
ああ、確かに僕は罪人だ、仕方ない。
でも、罪を重ねる事はやめられない、止められない。
…だいじょうぶ?
僕はその雪の中にうずくまっていた。
兄弟と争い、負傷した傷が治りきらず、そうするしかなかった。
じんじんとした痛みが、孤独と共に僕をせめ立てた。
仕方ないだろう。これがお前の罪だ。
…と。
ああ、確かに僕は罪人だ、仕方ない。
でも、罪を重ねる事はやめられない、止められない。
…だいじょうぶ?
舌ったらずな幼い少女の声がした。
彼は僅かに顎を持ち上げ、その声の主を見上げる。
そこには仕立ての良い白い着物を着た少女がいた。
僅かに青がかかって黒い髪は地面に届くか届かないかの長さで、手入れが行き届いて見える。
大きく丸い目は蒼く、晴れた空のように鮮やかな色をしていた。
まるで職人が丹精込めて作り上げた人形の如く美しい少女。
だが、その少女の方こそ、大丈夫か問いたくなる様子だった。
寒さのせいで凍える身体。
「さむい…?」
冷え切ったソレは目に見えて震えている。
寒いのはキミの方だろ。
「わんちゃん…?」
そのクセに、彼に手を伸ばしてきた。
今の彼は傷の治療に専念する為に、小さな子狼の姿しかとれない。
弱って動けない彼の体はいとも容易く少女の腕の中に納まる。
少女は彼を抱きしめて座り込んだ。
抱きしめられた衝撃で、傷が疼く。
何するんだ、この馬鹿人間。
癇に障った彼は、唯一どうにか動きそうな前足で少女の手を引っ掻いた。
「…ぃっ…」
少女は小さく唇を噛んで悲鳴をのみ込んだ。
「だいじょうぶだよ…こわくないよ…」
ボクは怖がってる訳じゃない。
心の中で否定する。ただ単に、不快だったから引っ掻いただけだ。
「…だいじょうぶだよ…いまだけでも…わたしが、そばに…」
なのに、少女は尚も彼に小さな小さな、消えそうな声で囁き続ける。
「わたしも…もう、ひとりぼっちだから…いっしょに、いてあげるよ…」
幼い顔に似合わない悲哀を含んだ声で少女が囁く。
ひとりぼっち?
…へぇ。
「きみも…ひとりぼっち…?」
…かもね。
「…そう、なんだ…」
小さく、哀しそうに笑う少女。
それを振り払うように、少女は小さく首を振る。
「…なら、もう、ひとりぼっちじゃないよ…きみも…わたしも…」
ほわりと、少女が微笑んだ。
小さな手が慈しみを持った手つきで彼を撫でる。
久しぶりに感じた、温もり。
触れられた場所は小さな灯りが燈った様に、温かかった。
だが、彼の額にぴちゃんと、冷たいモノが降ってきた。
何だろう、と、彼は顔を上げる。
水滴の源は、彼女の涙だった。
「…っぅ……あ、ごめん……ね…」
声を上げずに、少女が涙を次々と零す。
涙に濡れた瞳は空を凍りつかせて光を透かしたような色。
彼が今まで見た事もないほど、綺麗な色だった。
だけど、どうしてか見ていられなくて、彼は少女の頬に手を伸ばした。
傷が痛んだが、構わなかった。
どうしてかは理解できなかった。だが、ただ、少女が泣いているのを見るのが嫌で仕方無くて。
「わたしのこと…なぐさめてくれるの…?」
少しきょとんとした表情をして、それから、少女が笑う。
少女はそっと愛おしげに手を伸ばし、彼を抱きすくめて、頬擦りした。
弱弱しい力は優しい感触がして、彼はされるがままにしていた。
花の様な甘い匂いが仄かにして、彼は匂いをふんふんと嗅いでみると、彼女はくすぐったそうにして身じろぎした。
「きみは…やさしいこ、だね…」
少女が優しく笑顔を浮かべ、彼の頭を優しく撫でた。
やわらかくて、あたたかい。
あんまりに心地よかったので、彼は目を瞑った。
「…きみ…あったかい…ね…」
少女の声が少しずつ、小さくなっていく。
頭を撫でる手が、ゆっくり、ゆっくりと、次第に緩慢になってくる。
眠くなってきたのかもしれない。…それなら、ボクも少しだけ、寝ても良い、かもしれない。
「そばに…いてね…ずっと…」
幼く甘い声が、密やかに彼の耳に言の葉を囁く。
「ずっと…ずっと……わたしも…いっしょに…いる、から……」
…分かった。ボクが、傍に居るよ…。
傍で、キミを護るよ。
何をしてでも、傍に居るよ。
「…うん…ありがと…」
雪の結晶のように、淡く優しい笑みを浮かべると、そのまま少女は眠りに落ちた。
そして、2人は仄かな温みを分け合って、微睡んだ。
*****
目覚め。
「…あぁ、朝か」
天狼は小さくひとりごち、まばゆく朝の光に輝く銀の髪を掻き上げた。
…ずいぶんと、幸せな…過去の夢を見たものだ。
現実には酷く遠く、くだらな過ぎて自分で笑えてくる。
…だが、確実に、手に入れる。
「キミが…約束を覚えていなくても…」
口から、言葉が零れる。
あれは約束と言えるものだったのか、分からないけど。
ボクは、キミを傍で、護る為に
キミの傍に居る為に。
「ボクは、キミを手に入れる…」
あの時の約束を、護る。
彼は気付かない。
それが、いつの間にか約束と違ったものになっている事に。
彼女の自由を奪い、彼女の笑顔を失くす事でしかないという事に。
彼女の望みだという逃げ道で誤魔化した、自分の望みだという事に。
「キミを…護る為に」
彼は僅かに顎を持ち上げ、その声の主を見上げる。
そこには仕立ての良い白い着物を着た少女がいた。
僅かに青がかかって黒い髪は地面に届くか届かないかの長さで、手入れが行き届いて見える。
大きく丸い目は蒼く、晴れた空のように鮮やかな色をしていた。
まるで職人が丹精込めて作り上げた人形の如く美しい少女。
だが、その少女の方こそ、大丈夫か問いたくなる様子だった。
寒さのせいで凍える身体。
「さむい…?」
冷え切ったソレは目に見えて震えている。
寒いのはキミの方だろ。
「わんちゃん…?」
そのクセに、彼に手を伸ばしてきた。
今の彼は傷の治療に専念する為に、小さな子狼の姿しかとれない。
弱って動けない彼の体はいとも容易く少女の腕の中に納まる。
少女は彼を抱きしめて座り込んだ。
抱きしめられた衝撃で、傷が疼く。
何するんだ、この馬鹿人間。
癇に障った彼は、唯一どうにか動きそうな前足で少女の手を引っ掻いた。
「…ぃっ…」
少女は小さく唇を噛んで悲鳴をのみ込んだ。
「だいじょうぶだよ…こわくないよ…」
ボクは怖がってる訳じゃない。
心の中で否定する。ただ単に、不快だったから引っ掻いただけだ。
「…だいじょうぶだよ…いまだけでも…わたしが、そばに…」
なのに、少女は尚も彼に小さな小さな、消えそうな声で囁き続ける。
「わたしも…もう、ひとりぼっちだから…いっしょに、いてあげるよ…」
幼い顔に似合わない悲哀を含んだ声で少女が囁く。
ひとりぼっち?
…へぇ。
「きみも…ひとりぼっち…?」
…かもね。
「…そう、なんだ…」
小さく、哀しそうに笑う少女。
それを振り払うように、少女は小さく首を振る。
「…なら、もう、ひとりぼっちじゃないよ…きみも…わたしも…」
ほわりと、少女が微笑んだ。
小さな手が慈しみを持った手つきで彼を撫でる。
久しぶりに感じた、温もり。
触れられた場所は小さな灯りが燈った様に、温かかった。
だが、彼の額にぴちゃんと、冷たいモノが降ってきた。
何だろう、と、彼は顔を上げる。
水滴の源は、彼女の涙だった。
「…っぅ……あ、ごめん……ね…」
声を上げずに、少女が涙を次々と零す。
涙に濡れた瞳は空を凍りつかせて光を透かしたような色。
彼が今まで見た事もないほど、綺麗な色だった。
だけど、どうしてか見ていられなくて、彼は少女の頬に手を伸ばした。
傷が痛んだが、構わなかった。
どうしてかは理解できなかった。だが、ただ、少女が泣いているのを見るのが嫌で仕方無くて。
「わたしのこと…なぐさめてくれるの…?」
少しきょとんとした表情をして、それから、少女が笑う。
少女はそっと愛おしげに手を伸ばし、彼を抱きすくめて、頬擦りした。
弱弱しい力は優しい感触がして、彼はされるがままにしていた。
花の様な甘い匂いが仄かにして、彼は匂いをふんふんと嗅いでみると、彼女はくすぐったそうにして身じろぎした。
「きみは…やさしいこ、だね…」
少女が優しく笑顔を浮かべ、彼の頭を優しく撫でた。
やわらかくて、あたたかい。
あんまりに心地よかったので、彼は目を瞑った。
「…きみ…あったかい…ね…」
少女の声が少しずつ、小さくなっていく。
頭を撫でる手が、ゆっくり、ゆっくりと、次第に緩慢になってくる。
眠くなってきたのかもしれない。…それなら、ボクも少しだけ、寝ても良い、かもしれない。
「そばに…いてね…ずっと…」
幼く甘い声が、密やかに彼の耳に言の葉を囁く。
「ずっと…ずっと……わたしも…いっしょに…いる、から……」
…分かった。ボクが、傍に居るよ…。
傍で、キミを護るよ。
何をしてでも、傍に居るよ。
「…うん…ありがと…」
雪の結晶のように、淡く優しい笑みを浮かべると、そのまま少女は眠りに落ちた。
そして、2人は仄かな温みを分け合って、微睡んだ。
*****
目覚め。
「…あぁ、朝か」
天狼は小さくひとりごち、まばゆく朝の光に輝く銀の髪を掻き上げた。
…ずいぶんと、幸せな…過去の夢を見たものだ。
現実には酷く遠く、くだらな過ぎて自分で笑えてくる。
…だが、確実に、手に入れる。
「キミが…約束を覚えていなくても…」
口から、言葉が零れる。
あれは約束と言えるものだったのか、分からないけど。
ボクは、キミを傍で、護る為に
キミの傍に居る為に。
「ボクは、キミを手に入れる…」
あの時の約束を、護る。
彼は気付かない。
それが、いつの間にか約束と違ったものになっている事に。
彼女の自由を奪い、彼女の笑顔を失くす事でしかないという事に。
彼女の望みだという逃げ道で誤魔化した、自分の望みだという事に。
「キミを…護る為に」
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