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珠玖伽が立ち直った一連の流れー。
鬱陶しくなるので見ない方が良いかもしれなひ(ぁ)
けどロール上は一応書いとかないと分からなくなりますゆえ~。
*****
誇り高く在れ。
強く在れ。
大切だと思えるものを守る為に。
それがキミだろう?
しとしとと、長雨が続く日の中だった。
ベッドの上、窓から雨が落ちる様を眺め、珠玖伽はぼんやりとしていた。
一番大切なものが傍から離れて。
色んなものを根こそぎ奪われたような気分で、何もしたくなかった故に。
その為に大事な結社にもあまり顔を出さずに、ただただぼんやりしていた。
*****
原因は、少し前に届いた結社の業務連絡。
それともう一つ、一通の手紙。
業務連絡。
目を通しただけで、息が止まりそうになった。
心臓がばくばくとうるさい位に音を立て始めて、嫌な予感がした。
もう一つ、誰かからの手紙。
差出人を見た後、封を開けるのに、其の勇気を溜めるまで、どれほどかかった事だろう。
震える手を押さえて、
掻き集めたのに吹けば飛んでしまいそうなほど僅かな勇気を振り絞って、手紙の封を切って。
ゆっくりゆっくり、食い入るようにその文章を一文字ずつ見つめて、
動揺と或る種の恐怖の様なもので上手く働いてくれない頭を働かせて、
漸く、大切な人に別れを告げられた事を理解した。
理解した後はもう、早かった。
虚脱感と喪失感でかくんと全身の力が抜けて、
宙を見つめる目は何も映さず、ただ涙だけを流す綺麗な硝子玉と同じようになった。
*****
あれから数日。
涙を流すことにも疲れた。
無理に作った笑顔と元気で淡雪の子守唄へと顔を出すのも、
他の所属結社へ行って、友人達に逢いに行く事も、何もかも、したくなくなった。
淡雪の子守唄へ行けば、彼の影を求めている自分がいて、
それを自覚しては自己嫌悪に陥り、笑顔さえも作れなくなりそうになり。
所属結社や友好結社へ行って友人達と話してみようとしても、
辛気臭い自分の顔を見られるのも苦痛で、心配される事も心苦しくて、
それでも心配をかけているという事実に耐えきれず、逃げるように足を運ぶ事を減らして。
屋敷に帰って自分の部屋に籠っては、
自分は何をしているのだろうと、再び自己嫌悪に陥った。
屋敷の人間はみんな、気を使ってか、何も聞いてきたりはしない。
いつものように、笑顔で食卓を囲んで。
でも何処か歪で、
その歪みは、私が作っていると言う事は明白だった。
全て自分が悪いのに、頭が痛くなった。
何を考えても、苦しいばかりで、辛いばかりで。
だったら。
何も考えなければいいんだと、そう思って。
だから、何も考えないようにした。
*****
そんな日々が続いて。
気が向けば一人でゴーストタウンにでも繰り出して一暴れして。
少しずつ虚ろになって行く日々に気付きつつも、苦しくないからこれで良いと思っていた。
そんな日のことだった。
「やっほー、遊びにきたよ♪」
邪魔者が来た。
*****
「やっほー、遊びにきたよ♪」
作り慣れた明るい声とふざけた表情で、天狼は珠玖伽の部屋のドアを吹き飛ばした。
ちなみに入出許可の方は『珠玖伽を元気にすること』を条件に(何故か)譲刃からばっちり許可を貰っている。
物凄い轟音を立てて吹きとんで来たドアを数秒見つめ、
溜息をついて珠玖伽はイグニッションした。
彼女が自らに向かって飛来してくるドアに向けて手を翳す。
途端、雪を纏った風圧が起こり、板の破片と化したドアを凍りつかせてその場に撃ち落とした。
…当然のこと、コントロールをする気がさらさらなかった彼女の周囲の物品などもその猛威を受け、
さながら吹雪を浴びたかのごとく雪を被ったり凍りついたり、果ては破損したりしているが。
その悲惨な様子を毛ほども気にせず珠玖伽はイグニッションを解除し、再びベッドに潜り込む。
少しだけ雪の被った愛しい人の人形を抱いて、再び。
目の前のものすら見ていない、何も映さない、虚ろな目のまま。
いつもの彼女の様子ではない。
けれど、ずっと前に見た事のある様子。
何にも期待せず、希望を持たず、ただ日々を過ごす人形の目。
天狼はずっとずっと前に見た事のあるその目が、ひどく気にくわなかった。
「人が訪ねて来てるんだからさ、ちゃんと返事しなよ」
つかつかとベッドの傍まで寄って、天狼は珠玖伽の顎を掴みあげた。
強制的に上向かせたその顔は、何の表情もない無表情だけが貼り付いていた。
少し幼く綺麗に整ったその目鼻立ちは、まるで良く出来た人形のようで。
無表情が更にそれを際立てるかの如く、綺麗だった。
綺麗では、あった。
「その顔何なの?わざわざボクが訪ねて来てるんだよ。笑いでもしたら?」
何時もならここで、
『誰がお前なんかに笑いますかド阿呆!』
などと威勢のいい返事が返ってくる所だ。
しかし。
「……………………」
何一つ、返って来ない。
言葉の一つも返って来ない。
目の前に居るのに、彼女は天狼の事を考えていない。
考えているのは一つだけ、一人だけ。
自らに別れを告げた人間の事だけを考えている。
天狼はその事にひどく苛立った。
彼女にこのような顔をさせる人間が。
彼女をこんな風に出来る人間が。
爪を立てんばかりに彼女の顎を掴む手の力を強めて、ぐっと顔を近づける。
「…キミの重んじる礼儀はどうしたの?嫌いな相手でもきっちり相手をするんだろ?」
顔を近づけると、漸く気付いたように目が合った。
「天狼くん……何しに来たんですか」
抑揚のない声が当たり障りのない、申し訳程度の事を聞いてくる。
「遠くのある真っ白い女の子に頼まれて、ね。って言っても今のキミじゃわかんないだろーけど」
「ええ、分かんないです。意味が分からない。なので…帰って下さい」
顎を掴まれたまま、
いつもの10分の一にも足りぬ弱弱しい眼光で、彼女は睨みつける。
先程とは少し違う、苛立ちを含んだ視線。
「何言ってんの?ボクがキミの言う事を聞くとでも?」
対して彼は、
何時もよりも意地悪くどこか不機嫌そうに不敵な笑顔を浮かべる。
その笑顔に、彼女の苛立ちがつのっていく。
何で、何で、何で、何で。
何で邪魔するの。
私は悲しいから誰にも逢いたくないだけ。
何もしたくない
何も見たくない
何も触れたくない
何も触れてほしくない
何も考えたくない
何も好きになりたくない
何もかも、何もかも…
嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い!!!!!!!!!!!
「うるさい!!!顔も見たくないって言っている!!!!!」
再びイグニッションした彼女の周囲に冷気と雪を纏った暴風が荒れ狂った。
雪風は彼女の姿を隠すが如く部屋の中をめちゃくちゃにしながら勢いを増していく。
「おー♪うんうん、その方が面白い、よねっ」
彼女の顎を掴んでいた手を離し、天狼は楽しげに言って少しだけ彼女から距離を取った。
そして背中に背負っていた、大振りな太刀を抜き、
「さぁさ、やるからには殺る気で…ストレス発散に付き合ってあげるよー♪」
重みを感じていないかの如く、その凶悪な鉄の塊を振り上げた。
正眼に構えそれを振るおうとした直後。
雪風の嵐の中から弾丸のような速さで黒髪を風に踊らせながら、無表情の彼女が飛び出してきた。
獲物は両手に構えた結晶輪。
乾坤圏のように構え、両手で交差させている。
目にも止まらない速さで珠玖伽が天狼の懐に飛び込む。
十字を描くように斬撃を放って急停止し、地面を蹴ってそのまま身軽に前方宙返りをして彼の頭上を越える。
その斬撃を大太刀で受け切り、天狼は頭上を越えようとする珠玖伽に向かって大太刀をそのまま付き上げる。
「我は乞う…」
刃がそのまま珠玖伽に突き刺さりかけた時、彼女が小さく言葉を紡いだ。
途端、周囲を舞っていた雪風が猛威を振るい、その刃を退けんと強く吹き付けた。
「っと…さっすが~♪」
刃を押し返され、後ろに倒れこみそうになるのを太刀を地面に突き刺して一回転する事でやり過ごした天狼はひゅぅ、と口笛を吹いた。
これでこそ彼女と自分の関係『らしい』。
いつの間にか白銀の耳と尾を生やした珠玖伽が結晶輪を此方へ向けると、妖狐の守護星とされる七つの星の輝きが天狼を石像と化させんと極光を放つ。
「は…この程度効くか!」
その光を気魄だけで振り払う。
と、間髪いれず物凄い勢いで珠玖伽の周囲の妖気が膨れ上がった。
ふわんと白銀の九尾が顕現し、天狼を貫かんと次々と襲い掛かってくる。
猛烈な妖気を纏って共に飛び出してくる九尾を、天狼は大太刀で全て捌ききり、跳ね返す。
九尾解放の反動でよろけ、少し顔をしかめてたたらを踏んだ珠玖伽に高速で接近し、再びその顎を掴みあげる。
「ねぇ。守るんじゃなかったの?」
ひどく冷たい声で、ひどく冷たい目で。
極力冷淡に、淡々と。
より効率よく、彼女の傷を抉る為に。
彼女の罪悪感を呼び起こして、彼女をもっと壊して、彼女に痛みを思い出させる為に。
それがどれだけ酷いことか、よく分かっている。
どれほど彼女に、痛みを伴うことか分かっている。
どれほど、どれほど惨いことか、分かっている。
「大事な結社。団員。友人。大切な人間達。守るんじゃなかったの?」
「あ……やめ…いや、いや…ッ」
さあ、彼女に痛みを。
きっと泣くだろう、
自分のしたことの不甲斐無さと、情けなさに。
けれどそれがキミにとって仕方のない事だとボクは分かっている。
だってキミの心は、五つの時、お母さんを殺したあの時に、成長する事を止めたんだものね?
キミはいつまでも純粋で幼い心のまま。
ただ背伸びをして、他の人間の真似をして、無理をして歩き続けていたんだから。
いっその事、手放さなければよかった。
そうすれば…。
顎を掴む手の力を強める。
「思い出しなよ、キミの大切な誇りを。キミの誇るべきものを。今までキミが泣きながら抑えつけ、泥に塗れてそれでも失くさないように持っていた大切なものを」
「聞きたくない…やだ、いや…聞きたくない…!」
珠玖伽が耳を塞いで子供のように頭を振る。
ボロボロと子供のように涙を流して綺麗な顔をひどく歪めて。
天狼は仲間だの、友情だの、馬鹿馬鹿しいものだと思っている。
けれどこの娘は何よりそれを尊いものだと思っている事も分かっている。
故にその傷口を、更に抉るのだ。
「そんな風に引き籠って、祇神に結社を押し付けて、ただただ傍に戻る筈もない人間のことで泣いて。そんなんで守れるの?それとも守らなくていいと思うほどにキミの誇りは軽いもの?」
「違う!違う違う違う違う違う!違う、けど…でも…だって…!」
言い訳を探して首を振り続ける彼女の顎を強く掴んで、上向かせ、強制的に目を合わせる。
さあ、これで最後。徹底的に痛めつけないといけない。
その痛みで、重圧で、責務で、何より、彼女が誇るもので、
強制的に彼女を元の場所に繋ぎとめる為に。
「だっても何も無いよ、何時までも甘えるな。キミはキミ自身が紡いだ約束を破るのか?『約束は守る為に在る』んだろう?」
何時か彼女が言った言葉を強調して、彼女へトドメを刺す。
彼女が何よりも大切にしてきた約束という言葉を使って。
彼女がもらった大切な約束が裏切られている事も知っておいて。
彼女の甘えを打ち砕く為にその言葉で彼女の胸を突き刺すのだ。
くす、と、珠玖伽の口元に場違いに明るい笑みが浮かんだ。
「そー、ですね。約束は守る為に在るんですものね」
おかしそうに、自嘲するように静かに、涙を流しながら。
「ありがとさん。よーやくですが目ぇ覚めましたよ。ついでにこの手離せバカヤロー」
いつも通りの憎まれ口も相変わらず、前と同じ彼女の笑顔。
安堵すると同時に、少しだけ落胆も募っていたりはする。
これでまた嫌われたことと、あのまま壊れたままなら自分の手の中に戻すことも容易だったこと。
…まぁ、あんな祝伽に興味はないから別に良いんだけど。
「えー?何でさー。この流れだと普通、此処からキスとかしちゃう場面じゃないのー?元に戻してあげたお礼として―」
「はぁ!?ざけんな離せばかっ!!!」
にやりと笑って冗談交じりに顔を近づけてみようとすると、本気になって珠玖伽が大暴れする。
いくつかぼこすか殴られたけど、まぁそれも仕方ないか。
すっと珠玖伽の顎から手を離し、軽く片目を瞑って見せる。
「ま、とりあえずこれは一つ貸しってことで勘弁してあげよう。ちゅーじゃなくてもたまにちょいと外に遊びに連れて言ってもらうとかね?」
我ながら馬鹿馬鹿しいなと思う。
遊びに行くなどと自分の口から出るとは思わなかった。
ついで、珠玖伽が同意するとは思えない。
「…いーですよ?」
「ほぇ?良いんだ?ボクとなのに?」
「…別に。遊びに行く程度、構いません」
珠玖伽がつん、と横を向いてそっぽを向いたままぼそぼそと言う。
激烈に拒否されるかと思ったというのに何とも素直でない了承が得られた事に、
少しだけ『嬉しい』ような気がした。
「そっかー♪じゃあま、気が向いた時にでも何処か遊びに行こうかー♪」
「ん。遊びに行くだけですからね、遊びに行くだけっ!変な勘違いはナシですよ」
つんとそっぽを向いたまま注釈するように彼女が付け足す。
やけに強調する辺りが何ともまだまだ子供だなぁと思う。
…そうだ、今なら聞いてみてもいいんだろうか。
真っ白い彼女に言われたこと。
「ねー、祝伽?」
「…何ですか」
「ボクのこと嫌いだよね?」
笑顔を張り付けたまま少し冗談めかして聞いてみると、珠玖伽はきょとんと首を傾げた。
ついで顎に握りこぶしを当て、うーん…と小さく唸る。
「…嫌いでは、ないですよ?」
「ほぇ…ほんとに?」
思わず訊き返すと、こくんと彼女は頷いた。
「だって、一応助けてくれますもの。それに約束は破らなかったし、あと…」
「あと?」
「…私の名前を教えてくれました。お母様から貰った大事な名前」
「あー…」
まぁ、とりあえず、嫌われてはないのか。
…それならまぁ、良いか。
「んじゃー。ボク帰るねー。屋敷めちゃくちゃになってるけど修復ふぁいとー☆」
「Σああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!ちょ!こら修繕手伝えばかああああああああ!!!!!!」
「やだよー。壊したのほぼキミじゃん☆んじゃねー♪」
狼変身して銀狼の姿になった天狼は、そのまま屋敷を飛び出し塀を駆けのぼり、またたく間にその場から消えた。
あとに残された珠玖伽はその後家政婦さん&主h…絖哉たんに猛烈に怒られたそーな。
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補足。
何か最後の方、珠玖伽が天狼さんにツンデレっぽい対応してますが、別に好きだからではないですよ?w
珠玖伽さんは慣れるとあんな感じになります(
…まぁ迅さんやら泰花さんやら、おにーさんおねーさんたいぷな方々へは素直に甘えるんでせうが(ぁ)
しかし対抗したいと言うかそんな感じの相手には反抗します。
だって悔しいんだもの(ぁ)
とりあえずまぁこんな感じでひどく不安定ながらも、珠玖伽さんは立ち直ったようです。
もう大丈夫、とはいきませんが、たくさん大事なものがあるようですから、
それを失くさない内はまだまだ元気にはっちゃけているでしょう。
えーと、今更ながら。
背後がヘタレで色々と遅れて申し訳ないでございまするOTZ
体調を崩したり高校の色々でヘタレてたりありますが、
珠玖伽とか絖哉たんとかともども、これからも宜しくお願いしまするですぞー。
…あと、私信ですが某方は色々ありがとうございますと。
体調が芳しくなく、テストにも追われておりますゆえ返事は遅くなりますが、必ずや。
とりあえず狐ちん(ケメディちゃんとか)もこんなの言ってたぞよ
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世界はとても残酷
止まるのは自由だけど
止まらないで行動して何か救えるものもあるってことを知っといて
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追伸:覚悟はよいか!?(笑