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視界を覆うほどの桜の花びらが宙を舞って
まるで、夢のようだった
享受する幸せを疑う事も無く
ただ、しあわせだった
「かあさま、かあさま…っ!はな、はなっ!きれいっ!」
「あらあら…そんなに走ったら転びますよ、祝伽…」
ぽてん。
「わーん!!痛いーっ!」
「ほら、言わんこっちゃないです…」
「まぁまぁー。そうカリカリするな、いちい。ほらほらー、しゅくかー♪とーさんが行くから待っててねーっ!!」
びゅおおおおおおおお。
「…あの、あなた…?少々周りの迷惑と言うものを…」
「うわ…父上はや…。俺も負けてないぞーっ!しゅくかーっ!」
しゅばびゅーん。
「…雹牙まで…。…揃いも揃って、うちの男達は子煩悩…と言うか、祝伽煩悩、かしら…。…お待ち下さいなー」
たったったっ。
******
「ふぇ…おひざ、すりむいたぁ…血出てるー…」
「(ぜぇぜぇ)大丈夫、だよ、祝伽っ!とーさんが、一発で、治して、あg…いたぁ!?」
「父上…そんな…ぜぇぜぇの状態じゃ…祝伽が…怖がります…俺…が…(息荒)」
「(2人の頭を扇でばしんばしん)」
「「いたぁ!!?」」
「お2人とも揃って十分に怖いです。…祝伽、かあさまの所においで?」
「ん、かあさまー…(だきゅっ)」
「よしよし…えっと、膝から血が出てますね…。ん、と…絆創膏がありましたか…あっ。ありました…♪」
「ゆきだる、さんの柄~♪かわい、かわいい~…♪」
「はい、雪だるまさんです~♪これはですね、かあさまも気に入ってるんですよ~♪(きゃいきゃい)」
「あ、母上がスイッチ入っちゃった…。ち、父上っ」
「しまった…そ、そうだな…。いちいーっ!すとーっぷいちいーっ!ファーストは祝伽の治療ですぞーぃ!」
「…うん、何か言い方に問題アリと言うかつっこみたいけど、それでいっか。そーだぞ母上ーっ!絆創膏貼らなきゃ意味無いよーっ!」
「Σはっ!!…私とした事がトリップしてしまいました…。じゃ、そぉっと貼りますよー?」
「ん…ゆきだる、さん…貼って貼って~♪」
「はい、貼りますよ…あなたっ!雹牙っ!精密作業ですから動かないで下さいね!!」
「せ、精密…?…そうなのか?」
「そうです!一ミリの誤差が生死を分けます!」
「…母上、それは無いと思うよ…?」
「何を言ってるのですか!雪だるまさんの生死を分けます!」
「「雪だるまの方かよ!!」」
「雪だるまさんだけではありません!祝伽のテンションもかかってます!雪だるまさんがぐしゃってなってたら祝伽も落ち込みます!」
「ゆきだる、さん…ぐしゃー…?…やぁ…(うるるるっ)」
「ほら見なさいっっ!!」
「「それは一大事だッ!!!」」
「むむぅ…?(袖くいくい)…ねね、かあさま、とうさま…にぃに…。まわりの、ひと、たくさん、見てる、よ?」
「「「…ハッ!!?」」」
******
「…私とした事が…公衆の面前であんな風に騒がしく…」
「雪だるさん、まっすぐー♪きゃっきゃっ」
「落ち込むないちいっ!そんなに気になるなら今すぐ私がこの場の人間全員…」
「って何気なく恐ろしいこと言おうとするのやめなさいっ!(ひゅっ)」
「(ごすっ)ぐほぁ!…きょ、今日も良いストレートだ…流石は、私の、いちい…っ」
「ば、莫迦なこと言わないで下さいっ///」
「…2人とも子供の前でヘーゼンと惚気ないでくれないー?」
「「はっ!!」」
「…って、珞閃はともかく、私は惚気ていませんっ!」
「何を言うんだいちい~♪頬が赤いぞ~♪(によによ)」
「うるさいですっ!(ひゅんっ)」
「(ゴスドカッ)ぐっふぉ!!!…いーすとれーとだー…流石は、私の、いちい…」
「Σだっ、だからっ///」
「とうさまと、かあさまー…らぶらぶ、なの…♪(ほわ)」
「しゅっ、祝伽までっ///!」
「な、何故だか…照れるな…///」
「花より伴侶って感じだねー♪父上も母上も可愛いなぁ(にや)」
「おーやー…?生意気言うバカ息子は帰ってから竹刀の素振り5000ダナァ…(ニタァ)」
「Σ父上それ虐待だろっ!」
「其の時は私が白燐で癒してあげますよー(にこにこ)」
「母上笑顔が怖いっ!」
「(2人の袖くいくいっ)かあさま、とうさま…にぃにいじめる、の?(うるるっ)」
「「Σっっっ!!!!?」」
「いいいいいいいいえっ!そんなことはありませんっ!だから安心して下さいっっ!!!(首高速ぶんぶん)」
「あああああっ!大丈夫だっ!雹牙イジメナーイ!とーさまウソツカナーイ!(必死になり過ぎて謎のカタコト)」
「ふぇ…なら、良いの…ふゅ…(着物の袖で目元ぐしぐし)」
「祝伽…助かった…っ!(だきゅっ)」
「はわ…ぎゅー…♪(安心した様子でだきゅー)」
******
「おはなみ…たのしかった、の…」
「それは良かったとーさまハイパー良かったっっ!!!よし、じゃあもう仕事なんてやめて年中花見に…(スパーン)あ痛ぁ!!?」
「(扇を繰り出した格好のまま)何お馬鹿さんなこと言ってるんですか、あなた。次は凍らせますよ(吹雪のオーラ)」
「はい…調子こいてスミマセンデシタ…(ガクブル)」
「と言うかさ、花見は春に行くからこそ、じゃん。毎日のように行ってたら意味無いって」
「その通り、雹牙の言う通りです。それにあなたが働かなかったら困る方がどれくらいいると思ってるんですか?」
「それはー…そのー…だってー…」
「だっても何もへちまもありません!大体あなたは…」
「かあさま…ケンカは…めっ…なの…(うるるっ)」
「Σそ、そうです、ね…。…祝伽に免じて今日はここまでにしといてあげます」
「うわーんありがとー祝伽愛してるぞマイドータアアアアアア!!」
「どぉたぁー?(きょとっ)」
「ああ、ドーターとは英語で娘と言う意味で…」
「あらあなた。私はどうなんですか私は(にっこり)」
「勿論いちい、君の事は世界で一番愛してるぞっ!(超絶イイ笑顔)」
「Σ///(ぼふっと真っ赤に)」
「…母上、自爆じゃん(くすっ)」
「う、うるさいですねっ!」
「…また、行きたい、なぁ…(ぽそっ)」
「おや?…そう、ですね…また行きたいですね」
「初めての花見、堪能出来たみたいで何よりだ。有給とって良かったっ!」
「…専務さんとか悲鳴上げてましたけどねぇ…」
「まぁまぁ、いいじゃん。みんなで楽しい想い出、これでまた増えたしさー」
「おう、雹牙の言うとおりだっ!流石マイサーン…あ、太陽の方じゃ無くてな!」
「分かってるよ!俺ちゃんと勉強してるもん!」
「あらあら…もう英語やってるなんて…雹牙はおませさんなのかしら(くすくす)」
「むぅ…にぃにがやってる、なら…私も、やるー…!」
「なら祝伽にはとーさまがっ!」
「なら私が教えてあげましょうね♪」
「やったぁっ!」
「(どよーん)…雹牙、ちょっとお父さん死んで来るわ」
「父上待てーい」
「あらあなた?死ぬ時は私が氷漬けにする約束では…(ずずいっ)」
「Σぬぇ!?ま、マジか!私はそんな約束を…よし、良いだろう!煮るなり焼くなり好きにしろっ!!」
「…嘘ですよ」
「ぬ?…なんだー…。でもいちいになら殺されても構わんと思うぞっ(にこっ)」
「Σっ///!!!(ぼふっっと再び真っ赤に)」
「なんだこのらぶらぶ夫婦…。てかそろそろ帰んなきゃ祝伽が風邪ひいちゃうよー」
「あ…た、確かに…もう日も暮れてましたね」
「は…ふ…はぅひゅっ!」
「Σのぎゃーーーーっ!!!」
「ほら、言わんこっちゃないー。てか父上落ち着け」
「とりあえずあなた、落ち着いて…。祝伽、私ので悪いけど我慢して下さいね(自分の肩かけを掛ける)」
「うゅ?ほわほわ、あったかいのー♪」
「Σそれではいちいが風邪をひくっ!私の羽織を…」
「…父上のじゃでっかいだろ」
「よし、ならば私がいちいを姫抱っこで」
「Σ何でですか///!!」
「ふぇ…けんかー…?(じわわっ)」
「「「断じて違うので安心下さいっ!!」」」
「よかったー♪」
「…ともかく、風邪引かないうちに早く帰りましょうか」
「…だな。ともかく、ほい(自分の羽織を掛ける)」
「な…い、いりませんってばっ///」
「じゃあ私のお節介と言うことで受け取れ(にこっ)」
「……し、仕方ないから受け取ってあげますっ///」
「…母上って微妙にツンデレだよなー」
「雹牙うるさいですよっ///」
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朝、目が覚める感覚。
「…っん…ぅ…」
気分はあまり良くない。
寝台から身を起こし、目をごしごしする。
「…………………………………なんか…なつかしい夢見たなぁ…」
幸せだった頃。
平和で、楽しくい日々。
満たされていた優しい日々。
終わりが来ることなど、考えもしなかった。
守られて、愛されて、ただ、何も知らないで笑顔で居られた。
「…幸せ、だったな」
今はただ、何処までも墜ちて行く。
凍った茨の道を行く。
まるで破滅のカウントダウン。
痛みは何処までも深く。
その痛みは、犠牲に差し出したもの故に。
ねぇ、誰に助けを求めれば良い?