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TWシルバーレインのPC白霄院珠玖伽と祇神絖哉、祇之森譲刃、ミリル・ゴーテヴェルン(+背後)の日記…とゆうか雑記?っぽいものです。そしてアンオフィ要素は高めなのでお気をつけを。
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祈っても、どうにもならない。
何一つ、変わらない、沢山、沢山、変わっていく…。
自分の部屋で黒燐蟲と遊んでいたミリルは、突然感じた血の気配に小さく首を傾げた。
…この気配…しゅくねえさま…?
位置までは良く分からないが、確実に濃くなる気配は、確実に珠玖伽のものだ。
その気配に、ミリルは少し、もやもやとした気分になってくる。
「…黒燐、」
小さく自分に付き従う蟲達に呼び掛ける。
「しゅくねえさまの位置、分かる?」
黒燐蟲が放つ仄かな燐光が微かに揺らいだ。
主に伝える意思は是の意。
「…ん、じゃあ、つれてって」

*****

淡く燐光を放つ黒揚羽の後を追って、ミリルは裏庭の先、今まで見た事がない、氷の洞窟まで辿り着いた。
「こんな所…あったんだ…」
綺麗に透き通った氷の洞窟に少し目を輝かせる。
しかし一層濃くなる血の気配に、ミリルの不安は募った。
これ…他の誰かの血の…じゃない…しゅくねえさま…の…匂い。
出会いと、逃走の時に嗅いだ珠玖伽の血の匂い。
鮮烈な紅の匂い。脳裏に焼き付いたそれは間違えようもないもの。
「……………行くよ、黒燐」
従える蟲達を連れて、ミリルは氷の洞窟の中へ入っていった。

*****

*****

*****

「……………」
だいぶ歩いた。
血の気配はどんどん濃くなっていく。
進む先は良く見えない。
まっ暗闇だ。
ただ、仄暗く、しかしその先に淡く燐光が見える。
…む?ヒカリ?
ミリルの従える黒燐と少し似ていて、だけど違う白い光。
まるで…淡い雪に舞う、蛍の様な。
「ほたる…ほたる!」
珠玖伽が今従えている白燐蟲。
それの形状はまさに先程の、雪蛍。
「しゅくねえさま…!」
やっと見つけられた。
表情を輝かせ、ミリルはその淡い光を目指して小走りに駆けて行く。
仄暗い通路を抜けて、明るい場所。
たん。
通路を抜けてミリルが飛び込んだ場所は、広い聖堂の様な場所だった。
ただし潔癖なまでに全てが氷で統一されており、構成する氷のどれもが冷気を放っている。
薄い天井からは光が差し込み、広い空間を照らしていた。
透明な、光に包まれた場所。
「………………え………?」
ただ、一部。
鮮烈なまでの紅い色を除いて。

*****

ぼんやりと、空白な場所の真ん中。
そこに、探していた人がいた。
「なに…してるの…っ…!しゅくねえさま!!」
透明を彩るように自らより流れる紅い色を纏っている、珠玖伽を。
「……あ…ミリル、ちゃん?」
自らの太腿を短刀で突き刺した恰好のまま、珠玖伽は小さく首を傾げるようにしてミリルの方を見る。
どうやら見つかってしまったようだ。
あまり見られない方がいいと思って、ここに来たのだが。
その彼女の周りでは、白燐蟲が自傷している主を癒すべく、戸惑ったようにくるくると舞っている。
「何って…ちょっと血を抜いてただけですよ?」
小さく苦笑して、珠玖伽は自らの太腿から短刀を引き抜く。
鋭い痛みに少しだけ顔を顰めた。
「っつ…白燐…」
漸くの主の命に、これで何度目か分からない癒しの光と共に白燐蟲が主の体に触れて癒していく。
淡い光に、痛みが和らいでいく。
「血を抜くって…何でそんなことするの!?」
濃い血の匂いに、その行為が何度も重ねられた事象だと無造作に思い知らされる。
重ねられた痛みを、痛いほどに感じる。
眩暈がしそうなほどに濃い、血の匂い。
「…少し血の気が多すぎて、頭がくらくらするのでね…多少こうでもして頭冷やさないと…周りのヒトでも殺しそうなので」
血に濡れた短刀を小さく血振るいし、懐から出した手巾で拭って鞘に納める。
少し遅れて、傷に触れていた白燐蟲が珠玖伽の体から離れ、珠玖伽の傍でふわふわと淡い光を放ちながら舞う。
「ん…終わりましたか。ありがとうございます」
そっと小さな蟲達に触れ、労いの言葉を掛けながら仄かに珠玖伽が笑う。
そして、くるっと振り返り、申し訳なさそうにミリルを見る。
「見られちゃったら仕方ないですね…内緒にしててくれると嬉しいのですが」
困ったように笑う珠玖伽に、ミリルはいつものようにふわふわとした雰囲気をかなぐり捨てて激昂する。
「する訳ないでしょ!!?何をやってたか自分で分かってないの!?まだやる気なんでしょ!?そんなの止める為に言うに決まってるでしょ!!?」
自らの主の怒りに怯えたように黒燐蟲がゆらゆらと揺らめく。
作り笑いをする珠玖伽に、ミリルは苛々した。
いつもの、自分を迎えてくれる柔らかな笑顔じゃない。
無理やりに作った、ぎこちない、笑顔。
まるで今にも、崩れ墜ちそうな。

「それは…困りましたね」
今にもこの笑顔は崩れてしまいそうだ。
笑えない、笑いたくない。
笑いたい気分じゃない。
仕事で無理に作る笑顔と同じようには、行かない。

「何でそんなことするの!?痛いでしょ!?辛いでしょ!?」
ミリルは痛みを知っている。
だから、自分が今、こう在ることを識っている。

「そう…ですね、痛いですね…」
苦みを含んだ笑顔を浮かべて、僅かに視線を落とす。
痛い。
神経が引き裂けそうなほどに。
それでも、こうでもしないと、どうにもならない。
「でも…こうでもしないと、おかしくなりそうなんですよ」
自らの異常性を痛いほどに理解している。
殺人嗜好。
親しければ親しいほどに、欲しくなる、全てが。
今までは、抑えられた。誰でもない、あのヒトがいるお陰で。
でも…今。
多くのコトが、重なりすぎた。
「…あるヒトのお陰で、私はあのヒトがいなくなったコトを認めて、初めて『泣く』コトが出来た」
他の何よりも違う、一通の手紙。
唯一、あの時に、一番、痛いほどに私を分かってくれていた。
周りにいる全てより、唯、分かってくれていた。
それは意地を張る私を包んで、優しくココロに触れたモノで。
涙が溢れて、初めて、自分は泣いているんだと思えるほどに、泣いた。
「…そして、あるヒトが傍で、抱きしめて慰めてくれて、私は救われた」
初めて出来た、初めて信用していいと思えた、初めて自分を曝け出してもいいと思えたヒト。
驚くほどに私に似ていて、それでいて似ていない、桜の華。
ふわりと笑う笑顔に、私は幾つの傷を癒されたコトだろう。
弱くて儚い、大切な唯一のヒト。
「そのどちらもが傷付くのを、ただ見ているだけ、何もできない」
少し、くだらないコトで落ち込んでいたせいで、悩んでいたせいで、何もできなかった。
最善を。
ただ最善を尽くせるようにと、思っていたのに。
何一つ、出来ていない。
最悪だ。
自分への嫌悪で、頭がくらくらする。
常に脳の最奥が沸騰して煮えているように頭が働かない。
はっとした時には、衝動が体を支配しそうになる。
お陰で、結社への顔出しもままならない。
無理に笑って、いつものように、他愛のないコトを口にしようとしても、信じられないほどに時間がかかる。
なんて使い物にならない、『ガラクタ』
「頭の中に巡る度に…抑えが利かなくなって、ね?」

作りモノの笑顔。
きっと、自分には変えられない事だけしか、分からない。
どうしようもなくその事が悲しくて、ミリルはその場から逃げだした。

だっと踵を返してミリルが元来た道を走り去る。
「…あーぁ…傷付け…た」
ミリルちゃんは悪くない。
なのに、小さな心に裂傷を刻むようなコトをしてしまった。
……なんて情けない。
長い溜息をついて、そっと立ち上がる。

いっそ何も考えられないくらいにぐちゃぐちゃになってしまえればいいのに。
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